2017年箱根駅伝応援記 『約束の地』
2017年1月2日、長野県支部の朝は早い。まだ夜もあけやらぬ未明、氷点下の自宅を出発。中央道を1時間も走るとモノトーンの霊峰富士がお姿を現す。この旅の安全と、法政のシード権獲得を念じて心の中で手を合わせる。相模の国にさしかかると夜も明け始め、空が群青色に変わる。そして、約束の暁の太陽が橙色に染まり、ハンドル握りながら心弾ませ『ひとりチャンス法政』を唱える。
本厚木駅で長野県支部の皆さんと合流し、4区応援場所である大磯へ移動。鴫立沢(しぎたてさわ)交差点付近にさしかかると目印のオレンジの幟旗がはためき、小林相談役、柳田顧問はじめ本部の方々が出迎えてくださった。
さあ、選手通過時間まで1時間あまりをどうすごすか。心配は容易に消える。両隣に陣取る他大学の応援の方々との交流、沿道に突然現れた『箱根駅伝マニアオジサン』からの情報提供で思いのほか楽しいひととき。ふと、気がつくと上空には報道ヘリがホバリング、国道にはパトカーや陸連のクルマが通過し、一気に緊張感が高まる。
先頭の青学 森田選手、2位早大 鈴木選手の通過に沿道はどよめき、興奮は最高潮に達する。我がオレンジエクスプレスはまだか?と沿道から身を乗り出した瞬間、土井大輔選手が快足を飛ばし7~9位集団で通過。「これならシード行けるぞ!」どこからか声が上がる。「4区になっても全体がこんなにコンパクトな集団で通過するのは近年稀ですね。」と、箱根駅伝をよく知る小林相談役からの深い解説。
さて、土井選手はじめオレンジエクスプレスメンバーに会うのは、昨年8月の長野県支部恒例の菅平高原合宿激励以来5ヶ月ぶり。そのとき、疲労がピークであったことも気がつかずにスローペースの君たちに、正直なところ気を揉んだ。予選会突破の暁には本戦にも応援に行きます、と激励と約束を交わした。
しかし、君たちはわれわれをこの、約束の地に連れてきてくれた。わずかひとり、ほんの一瞬ではあるが懸命に走る姿を見せてくれるとともに、非日常の感動と勇気を与えてくれた。
また来年も会おう、約束の地(菅平高原、箱根駅伝本戦)で。
長野県支部 副支部長 中島 武彦